月次成績-2016年5月

前半は期待曲線に乗ってくるかと思いましたが、後半は振るいませんでした。
月収支がプラスで終われただけでも良しとします。

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2016/5/31

◆本日の損益
 +185,500円

◆本日のトレード
 JDI +70,000円
 アステラス製薬 ▲79,650円
 他

◆今月の累積損益
 +233,570円

2016/5/30

◆本日の損益
 ▲23,850円

◆本日のトレード
 新生銀行 +42,000円
 カプコン ▲62,000円
 他

◆今月の累積損益
 +48,070円

2016/5/27

◆本日の損益
 ▲138,900円

◆本日のトレード
 京セラ +22,800円
 村田製作所 ▲82,500円
 他

◆今月の累積損益
 +71,920円

2016/5/26

◆本日の損益
 ▲221,700円

◆本日のトレード
 商船三井 +50,000円
 パーク24 ▲56,000円
 他

◆今月の累積損益
 +210,820円

AI投資(2)

「あの『超高収入な職業』が人工知能出現で失業の危機!?」

つい先日の5/20に、ダイヤモンドオンラインに掲載された記事です。
お察しの通り、将来的にAIがファンドマネージャーに取って代わるのでは、といった内容です。

海外ではAIベースのヘッジファンドはとっくの昔に運用を開始しており、
その中には利益を上げているファンドもあるようです。
国内では三菱UFJ信託銀行が今年中にAIベースの投資信託を立ち上げるようです。

AI投資は「人の思考を全く介さないコンピュータに任せっきりの完全自動売買」と謳われますが、
上記の内容は単に銘柄選定と発注のプログラムを組むだけで簡単に実現できることです。
特別なことは何もなく、どの機関投資家もやっている単なるプログラム売買です。

AI投資を正しく表現すると、
「株式の超過収益の予測過程において人工知能(つまり機械学習)を利用する投資」となります。
フィクション作品の影響でAIにはモヤっとした間違ったイメージが定着しています。
「AI投資」という単語は、「リターン予測に機械学習を利用する投資」と読み替えて下さい。


最近になって急速にAI投資に関する注目が集まっている理由として、
「アルファ碁」の出現が挙げられます。

アルファ碁は「ディープラーニング」と呼ばれる手法をベースとしたAIであり、
全ての囲碁の局面において最も勝率の高い次の一手(神の一手?)を予測するものです。

要するに囲碁を題材とした入出力を扱う予測システムなのですが、
その予測精度が少なくとも人間を超越したことになります。

アルファ碁は数百万のノードを持つ12層のニューラルネットワークであり、
およそ3000万局(これについてはいろいろ説があります)の棋譜を機械学習させて、
「囲碁ではコンピュータが人間に勝つには10年を要する」という一般論を簡単に打ち破ってしまいました。


では「AIが人間のトレーダーに取って代わるか?」ですが、
この質問(というか命題)はかなり見当違いなものであり、「そんなことは有り得ない」と言えます。
以下、そう考える根拠を明確に説明します。




そもそも前々回の記事でも述べたように、
AIというものは自らが自発的に思考することはなく、学習の結果に基づいた予測・判断しかできません。
人間とは異なり、急遽その場で何かを編み出すということはできないのです。
従って、強力なAIを作るためには「どれだけ多くの学習をさせるか」ということが重要ですが、
ここにアルファ碁がプロ棋士に勝てた理由があります。

AIの力を最大限に引き出すためには、「強化学習」を行う必要があります。
「強化学習」とは、通常の「教師付き学習」ではなく自らの経験を元に学習する手法です。
アルファ碁は自分同士で対戦し、その結果を学習することができるのです。

アルファ碁は1日当たり3万局もの対局を自身で行い、その結果を学習していきます。
これにより、学習のサンプルデータを無限大に増やすことができるだけでなく、
普通のプロ棋士の対局では滅多に打たれない「初手天元」ような手(つまりトレードでいう異常値)についても、
何万通りもの局面を学習することができるのです。

打たれたことの無い手を打ってコンピュータの自滅を誘うという手は全く通用しませんし、
これまでの定石では全く見られない誰も検討もしたことのない手も出てくるのです。
アルファ碁の対局の解説者(もちろんプロ棋士です)は、「何が起こっているか分かりません!」
と解説していたようです。


しかし、株式市場ではこのようには行きません。
株式市場のデータは有限でその数は圧倒的に少なく、さらにデータの素性も悪いのです。

参考までに、囲碁におけるサンプルデータは、終局までの手を平均してざっくり300手と考えると、
3000万局×300手=90億個となります。
終盤のヨセは打ち筋が決まっていると考えて除外すると、
布石から中盤までの100手でも30億個のサンプルを得ることができます。
さらに自己との対戦でこのサンプル数を時間の許す限り増大させていくことができます。
1日3万局であれば1日当たり300万個のサンプルを積み上げることができます。

これに対して株式であれば、例えば日次データを使うとすると、20年分のデータとしても、
およそ1000万個(2000銘柄×稼働日250日×20年)のデータしかありません。
為替であれば、例えば分足データを使うとしても、
およそ720万個(1440分/日×稼働日250日×20年)のデータしかありません。

しかも株式市場を取り巻く環境や企業業績は年々変化するため、
個々のデータを同じ条件で取り扱うことができません。
株式市場のデータは「非常に素性が悪い」ということです。
囲碁ではいつの時代でもそのルールは全く同じのため、データを全て同じ条件で取り扱うことができます。
(唯一、「コミ」だけは時代とともに変化しています)


つまり、囲碁であれば数十億・数百億もの一律条件で取り扱えるデータが手に入るのですが、
株式市場ではたった1000万個の条件の不揃いなデータしか手に入りません。
囲碁の世界と投資の世界では、サンプルデータの量も質も全く違うのです。

もしも株式市場のデータに対してアルファ碁クラスのディープラーニングを行う場合、
数百万のノードに対してサンプルがたった1000万個しかないため、
意味の無いパラメータで簡単にフィッティングできてしまいます。
投資向けにアルファ碁クラスのAIを構築することは、全くもって不可能なのです。


残る方法は、仮想市場を作って自己学習(強化学習)させる方法です。
経済や金融の研究には、人工市場モデルというものがあります。
人工市場モデルとは市場の統計的性質を再現した仮想市場であり、
東証が規制などを導入する際にこのような手法を用いて規制の効果を予測することがあります。

しかし結局のところ、仮想市場とは人間がパラメータを与えて作るものです。
そのような仮想市場において、AIがどのようなパラメータを抽出してくるか・・・
株式投資において自己学習するAIというものは非現実的なのです。


ではAIが全く無用かと言われるとそうではありません。
機械学習はデータマイニングの立派な手法であり、
統計的に裏付けされた一般に知られていない市場特性の抽出に大きな力を発揮します。

しかしそれはあくまでも質の高いサーベイという位置付けに留まり、
他のクオンツ手法と同じくツールの域を脱しません。
従って「AIが人間に取って代わるか」という考え方は全く意味がないものなのです。


「ファンドの分析手法が全てAIに変わるか」と言った表現であれば正しいかもしれませんが、
AI、すなわち教師付き機械学習による予測結果が既存のクオンツ手法に対して優れているかは微妙です。
「AI投資ファンド」と言えば聞こえはよいのですが、
「教師付き機械学習でリターンを予測するファンド」と言うと感覚的にも「微妙」だと思います。

仮に現在のAIファンドがAIを駆使して世の中に知れ渡っていない市場特性を抽出し、
その結果に基づいて利益を上げていたとしても、
同じようなファンドが多数出現すれば市場調整が発生して近い将来には全く利益が上がらなくなるでしょう。

よって従来から市場に存在していたAI投資は、今回たまたま運悪く外的要因で注目を集めてしまったせいで、
その寿命は以前にも増して短くなったと考えます。
投資の世界で失業の危機であるのは人間ではなく人工知能のほうかもしれませんね。

アルファ碁とは異なり、市場予測の問題には別の観点からのブレイクスルーが必要なのですが、
そのような手法は今のところ存在しないのです。


2016/5/25

◆本日の損益
 ▲113,190円

◆本日のトレード
 不二越 +39,000円
 田辺三菱製薬 ▲67,200円
 他

◆今月の累積損益
 +432,520円

2016/5/24

◆本日の損益
 +27,860円

◆本日のトレード
 ソニーフィナンシャル +40,000円
 富士電機 ▲30,000円
 他

◆今月の累積損益
 +545,710円

2016/5/23

◆本日の損益
 ▲56,600円

◆本日のトレード
 IHI +50,000円
 三菱自動車 ▲65,000円
 他

◆今月の累積損益
 +517,850円

HFT・アルゴリズム(1)

アルゴリズムと聞くと嫌なイメージを持つ方が多いと思います。

機関投資家の専売特許であり、有利な指値を奪い、ときには市場をクラッシュさせる。
アルゴリズムやHFTが出現し始めた頃はその手法は全くのブラックボックスであり、
上記のようなイメージが定着したものです。
しかし最近では、株式市場、特に国内の株式市場においては、
これらのアルゴリズムはほぼ無害であることが分かってきています。
(昔は私も有害であると考えていました)

東証の高速取引システムであるアローヘッドは2015年9月にリニューアルされました。
このようなシステムの高速化に伴い、アルゴリズムやHFTによって不利益を被ることを懸念する人もいますが
それは全く見当違いです。


アルゴリズムとは物事の手順を明確化したものを指し、HFTは単に高速・高頻度で取引することを指します。
言葉の意味だけを考えると、HFTはアルゴリズムの1つと言えます。

マーケットにおけるアルゴリズムとHFTは、その目的から区別されています。

アルゴリズムとは単に注文執行のプロセスを機械化したものであり、
収益を狙うものではなく執行に伴うコストを削減することを目的とします。
東証の注文の7割はアルゴリズムと言いますが、機関投資家が発注作業をわざわざ手作業で行うわけがなく、
これは当然のこととなります。

これに対して、HFTは細かな注文を繰り返すことで収益の積み上げを狙うものです。
HFTの収益の源泉は株価変動によるキャピタルゲインではなくマーケットメイクによるリベートが主となります。


アルゴリズムの目的は大きく分けて2つあります。

(1)大口注文のマーケットインパクトを緩和する

  機関投資家の株式保有数は個人投資家の比ではなく、
  一度に注文を出すと板に莫大な気配が出現し、当然ながら取引にはなりません。
  よって大口注文は小口に分割し、少しずつ消化する必要があります。
  これがアイスバーグ注文に代表される、マーケットインパクトを抑制するためのアルゴリズムです。

(2)ベンチマークからの乖離を抑える

  分かりやすい例で説明すると、ベンチマークを終値基準としている場合です。
  この場合、小口注文の平均約定価格が終値に近づくよう注文しなければなりません。
  マーケットインパクトの都合で成引での一括注文はできないため、
  市場の閉まる数分前からアルゴリズムが動き始め、少しずつ注文を消化することになります。
  約定平均価格を終値に近づける戦略をMOC、出来高加重平均に近づける戦略をVWAPと呼びます。

これらの注文は指値注文であり、成行注文は使われません。
指値注文とする理由は単純で、スリッページやスプレッドによる損失を抑えるためです。
自らの指値はコントロールできても、他の参加者の指値はコントロールできないため、
成行での連続発注は思わぬコストに繋がる可能性があります。


どれだけ注文の高速化が進もうと、市場は価格優先・時間優先の原則に従うため、
同値の既存の指値の先頭に割り込まれることはありません。

スプレッド間にある空白の最良執行価格に割り込まれることは考えられますが、
それが嫌であれば個人投資家のメリットを生かして成行注文を出せばよいだけの話です。
日本の株式市場はフロントランニングできない構造であり、
アルゴリズムによる成行注文の察知→最良気配買い占め→最良気配売り付けはできません。


このようにアルゴリズムは「ほぼ」無害なのですが、「ほぼ」とわざわざ付ける理由として、
アルゴリズムの中にはアイスバーグ注文などの執行に際して「見せ板」を使う悪質なものがあるからです。
ただし見せ板はアルゴリズムの問題ではなく、モラルの問題であることは言うまでもありません。
東証がきちんと取り締まれば良いだけの話です。