過去記事-株価とマクロ経済学(1)

過去記事の「株価とマクロ経済学」を再公開します。
なお、本コラム以外の過去記事を再公開する予定はありません。
公開当時とは情勢が変わっているため、内容を改訂しています。

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マクロ経済学は経済学の一種で、個別の経済活動を集計した一国経済全体を扱うものです(wiki)。
マクロ経済学の基本は、GDP(国内総生産)をベースに語られます。

GDPとは、「一定期間において国内で生み出された財・サービスの総量」と定義され、
いわば「国内の景気」を表す指標と言われています。
前期に対する成長率がプラスであれば「景気拡大」、
マイナスであれば(特に2期連続であれば)「景気後退」と判断されます。

そもそも「国家は成長を続けなければならない」という考え方が根本としてあり、
そのため「GDP成長率」を高めること(少なくともプラスで推移させること)が、
第一の国策として取り上げられます。


ここから理論的な説明に入ります。
国内で生み出された財・サービスは何らかの形で消費される必要があります。
消費しきれなかった分は、ストックとして積み上がるため投資と分類されます。

GDPを消費(=各部門の支出)の面から分解すると、

 Y=C+I+G+(X-M)

ここで、Y:GDP、C:民間消費(企業および家計の支出)、I:民間投資(企業および家計の投資)、
G:政府支出、X:輸出、M:輸入、となります。

(X-M)は輸出入の差分であり、つまり経常収支CAと考えることができます。


まず右辺の第1項であるC(民間消費)に着目します。

ケインズ経済学では「消費は所得の関数」と考えます(所得が多くなると、その分消費も多くなる)。
では所得をどのように表すかですが、
GDPは国内の総生産量であり、民間全体(企業+家計)が得た財(つまり国民所得)と考えられます。
ただし、民間は政府から徴税されているため、実際の所得は税金分Tを差し引いたY-Tとなります。

消費Cを所得Y-Tの1次関数と考えると、上記の式は下記にて置き換えることができます。

 Y=c0+c×(Y-T)+I+G+CA

上式から分かる通り基本的なことですが、

 ①Tの増加(即ち増税)は、Y(GDP即ち景気)を押し下げます。
 ②Gの増加(即ち公共投資など)は、Y(GDP即ち景気)を押し上げます。
 ③T-G(税収-政府支出)は、基礎的財政収支(プライマリバランス)であり、
  赤字となる場合は国債発行でファイナンスします。

税収Tと政府支出GによってGDP(≒国内景気)を調整することが「財政政策」となります。
旧アベノミクス第2の矢である「機動的な財政政策」がこれに当てはまります。
(一番の景気対策は、「減税」ですね!)


続いて右辺第2項であるI(民間投資)に着目します。

ある投資の収益性をr、銀行の貸出金利をiとすると、
r>iの場合、すなわち投資の収益性が借入金の金利よりも高い場合、投資を選好することになります。
r<iの場合、すなわち借入金の金利が収益性を上回る場合、投資を敬遠することになります。

rの値は金利iとは独立であり、
例えば技術的なイノベーション等が発生して収益性が向上すれば、投資性向が増加することになります。

従って、民間投資Iを関数の形で記述すると、

 I=I(r、i)  :ただしrに関しては増加関数、iに関しては減少関数

上記の式をGDPの式に代入すると下記のようになります。

 Y=C+I(r、i)+G+(X-M)

上式から分かる通り基本的なことですが、

 ①rの増加(即ち投資収益性の向上)は、Y(GDP即ち景気)を押し上げます。
 ②iの減少(即ち金融緩和)は、Y(GDP即ち景気)を押し上げます。

銀行貸し出し、債券・手形オペレーション、法定準備率の変更などによって金利iに影響を与え、
ひいてはGDP(≒国内景気)を調整することが「金融政策」となります。
旧アベノミクス第1の矢である「大胆な金融政策」がこれに当てはまります。


さらに金利の低下は為替レートへ影響を与え、
GDP構成要素の第4項である経常収支に作用するとともに、物価を押し上げる効果があります。

日銀黒田総裁は異次元緩和の目的は投資の喚起というよりもデフレ脱却(インフレ化)と提言しています。

次回は為替と物価の話です。続きます。