論文紹介(4)

「Applying Deep Learning to Enhance Momentum Trading Strategies in Stocks」
(L.Takeuchi, Y.Y.Lee, 2013/12/12)

少し古くなりますが、ディープラーニングによる株価予測の論文です。

最近は「AIと言えばディープラーニング」といった風潮が強くなってきた気がします。
そもそもディープラーニングは2012年のILSVRC(一般画像認識コンテスト)で
カナダのトロント大学が2位以下に圧倒的な差を付けて優勝したことで注目を集めました。
日本で一般に認知されるようになったのは2015年頃であり、
東京大学の松尾氏の書籍「人工知能は人間を超えるか」が一役買ったような気がします。
表紙がアンドロイドを彷彿させるアニメイラストとなっておりメディアでも取り上げられました。
2016年3月にアルファ碁がイ・セドル九段に勝利したことで、爆発的なブームとなりました。

本論分での予測対象は米国の個別株の月次リターンであり、
1965年~89年を学習期間(インサンプル)、1990年~09年を検証期間(アウトオブサンプル)としています。
ニューラルネットモデルは入力層→中間層3層→出力層の計5層であり、
入力層~3層目が特徴抽出するエンコーダ、4層目~出力層がリターンを分類する識別器となっています。
入力として直近1年の騰落率など、計33の変数を採用しています。

結果としてアウトオブサンプル期間において、
従来の単純なモメンタム戦略の総利益が10.53%であるのに対して、
ディープラーニングを用いたモデルでは総利益が45.93%と飛躍的に向上しています。


しかし、この結果は本当にディープラーニングの効果なのかなぁと考えてしまいます。
33もの変数を使えばディープラーニングに限らずこれくらいの改善効果は出るような気がします。
時折ディープラーニングに過剰な期待を寄せる人を見掛けますが、
そもそもディープラーニングによって根本的な予測力が向上することは決してありえません。
これは画像認識をやっている人は当然のように理解しているものと思いますが、
どういうわけか金融をやっている人には誤解している人が多いような気がします。

AI投資というものは錬金術ではありません。
ディープラーニングに限らず「AIで劇的にパフォーマンスが改善」というフレーズは
投資においてはまず第一に疑って掛かるべきフレーズだと思います。


オートエンコーダで特徴抽出出来るようになったのは
スゴいですが、ここでどの程度意味のある特徴を
抽出出来るかですよね。
この分野はまだ主導権争いが続いているみたいなので
日本には頑張って欲しいです(^^;

2016年11月13日 14:01| 壺主URL

コメントありがとうございます。
ディープラーニングについては近々記事にしたいと考えています。
ご期待下さい。

2016年11月15日 16:44| UKIURL